介護保険制度の「持続可能性」を問う 院内集会報告

2018年11月11日 23時07分 | カテゴリー: 活動報告, 高齢者、障がい児・者福祉

8日、介護の日フォーラム実行委員会による院内集会が開催されました。
大河原まさこ衆議院議員をはじめとした国会議員、厚生労働省や財務省の職員の皆さんと、介護報酬や訪問介護、小規模デイサービス、居宅介護支援事業など、在宅を支えるサービスの課題について意見交換しました。

まず、議論になったのが介護職員の処遇改善。処遇改善加算については、介護職のみ対象とされ事務職は対象外とされるなど事業所内に賃金格差を生む事や、利用者負担が発生するなどの課題があります。
横浜市の高齢者実態調査では、職場で行ってほしい処遇改善は「給与表の改定による賃金水準の引き上げ 」や「定期昇給の実施」なのに、実際に行われている賃金改善は、「一時金として支給」が最も多く、次いで「毎月支給される手当として支給」と希望に添う形にはなっていないことがわかっています。また、恒久的な制度ではないので将来が不安などの理由で加算を申請しない事業所もあります。何よりも、処遇改善加算制度は、事業所の経営のうち給与にのみ介入するもので、事業所の経営の安定化に資するものではありません。基本報酬の見直しで処遇を改善することが本筋だと思います。

そんな中、そもそも論を展開した家事介護W.Co絆の工藤恒子さん。「ヘルパーとして在宅を支えていく上で生活経験が必要とされる場面は多い。しかし生活援助サービスへの評価は低い。重要性に着目して適正に評価すべき」と。主に女性たちがアンペイドで提供してきた介護、特に生活援助という領域、それゆえの課題を端的に指摘されました。身体介護と生活援助の区分があること自体を見直すべきではないでしょうか。

総合事業については、2017年度実績で訪問、通所とも多様なサービス(基準緩和型、住民主体型)を実施する事業所は1万を超えたと言います。しかし、その実施主体を見ると介護サービス事業以外の主体は訪問で約2割、通所で約4割にとどまっています。総合事業の報酬は多くが予防給付(従前相当)よりも1~3割は低いため、今後も多様なサービスに新規参入が広がることは期待できないのではないかと思います。

職員の皆さんが繰り返し言われていたのは介護保険制度の「持続可能性」。しかし、給付を抑制して制度を維持したとしても、サービスの選択肢がなくなり、担い手もいない、つまり制度はあってもサービスはなしという状況をどう考えるのだろうか。給付の抑制と引き換えに新たなサービスとして登場した総合事業の持続可能性も大変低いものと言わざるを得ません。

何れにしても、これからも介護保険制度の「持続可能性」を軸に制度改定議論は進んでいくものと思います。私たちも、諦めずに、暮らしの持続可能性という視点から生活現場・福祉現場の声を届け続けたいと思います。