とことん介護保険制度に向き合いたい「介護の日フォーラム」

2018年10月25日 08時02分 | カテゴリー: 活動報告, 高齢者、障がい児・者福祉

介護予防・ 日常生活支援総合事業の本格実施が目前に迫っていた2015年に第1回フォーラムを開催して以来、3度目のフォーラムとなりました。

 20日、介護の日フォーラムが、東京ウィメンズプラザで開催されました。
フォーラムは、厚生労働省の社会保障審議会、介護保険部会や介護給付費分科会などを継続的にウォッチされてきた小竹雅子さん(市民福祉情報オフィス・ハスカップ)の基調講演でスタート。
 小竹さんがまず言われたのは、ハスカップが実施している電話相談と審議会の議論のミスマッチ。多く寄せられるのは「ヘルパーが来てくれない」という相談だと言います。しかし、この間進んでいるのは訪問介護、通所介護をターゲットに給付抑制策。地域包括ケアシステムの構築が言われる中で創設された「介護予防・日常生活支援総合事業」(地域支援事業)についても財源のあり方からその問題点を指摘されました。

 この事業の財源は、要支援者への給付を削って生み出したもので、給付サービスと同じ介護保険料と税金を財源としています。小竹さんが強調されたのは、「給付費は義務的経費ですが、地域支援事業は「事業」で、介護予防・日常支援サービスを利用するよう支援1・2の人が増えても予算額が自動的に増えることはありません。」ということ。そもそも、基本チェックリストと総合事業サービスの目的は「費用の効率化」であり、財政制度等審議会は、要介護1、2の生活援助も地域支援事業に移すことも提案しています。
 10月からは、ホームヘルプサービスの生活援助のみ利用回数に制限が設けられ、ケアマネジャーは市区町村にケアプランを事前に届け出ることが義務付られました。12月から「生活援助」のケアプランは、地域ケア会議でチェックされます。小竹さんは、「認知症のGHや施設サービスでは24時間のサービスが提供されるが在宅では制限されるというアンバランスが生じている」という問題点や、制度の開始前から、すでにケアマネや市町村の中には先走りをして「生活援助」の利用を制限する動きがあることも指摘されました。ここで確認したいのは、市町村に認定者のケアプランを強制的に制限する権限はないということ。

 もう一つ問題点としてあげられたのは「病院が介護保険に引っ越してくる」という事態。2006年から2015年の10年間で介護療養病床は▲5,9万ベッド、医療療養病床は1,5万ベッド増という状況があり、2017年には、介護医療院も新設されました。少し古いデータですが、2015年度の社会保障給付費の総額119,2兆円のうち、介護給付費は9,4兆円。社会保障給付費の8%にしか過ぎない。年金は55兆円で48%、医療は37,7兆円で33%を占めています。さらに、この20年間で社会保障給付費が大きく膨らむなか、事業者負担は軽減されてきたという状況もデータとともに示されました。

 第2部では、地域の支え合い拠点づくりの実践報告がありました。
 そもそも介護保険だけでは暮らせないし、制度が始まる前から地域でインフォーマルサービスを提供してきたNPO、ワーカーズ・コレクティブとして、今こそ、その実践を広げたいという想いも理解できます。
だけど、事業に強さがなければ、インフォーマルサービスまでマネジメントすることは難しい。私は、果たして非営利協同のスタンスはこれで良いのかと自問自答してきました。

 小竹さんは、給付の抑制を進める一方で、地域福祉との境目がますます曖昧にされつつある介護保険制度の改定議論に取り込まれないこと。“財源無い論”からの転換も含めて、自己決定、自己選択による保険制度の原点を確認し、「もっと怒ろうよ」と、ズバッと切り込んでくれました。
 私は、介護保険だけでは暮らし続けられない、「居場所事業にもお金をつけてね」というのはやっぱり違うと思う。とことん介護保険制度に向き合い、声を上げ続けることがもっともっと必要。と再確認しました。
生活援助を介護保険給付から外す流れに神奈川からNOの声をあげて始まった介護の日フォーラム。私たちも原点に立ち返りたい。