3・11甲状腺がん子ども基金の取り組みに学ぶ

2018年7月21日 09時07分 | カテゴリー: 地域活動, 防災・環境・エネルギー・ごみ

NPO法人3・11甲状腺がん子ども基金専務理事吉田由布子さんを迎えた学習会に参加しました。

吉田さんは、1990 年に「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワークを設立して以来、緊急の子ども健康支援とともに、女性の生殖健康を基点に、 実態に即した「放射線の健康影響研究」を開始。現地で、母親、 医師、研究者らと討論しながら、現在まで研究を重ねておられます。東日本大震災、福島原発事故後、国が、甲状腺がん予防のための安定ヨウ素剤の投与を的確に指示しなかったことや、子どもたちの甲状腺の被ばく量もきちんと調べ なかったこと、また、検査の支援も福島県だけに限定したことなどをあげ、「子ども・被災者支援法」ができたが、国は抜本的保健対策を講じていないと指摘されました。

吉田さん提供資料より

特に、福島県の実施した県民健康調査については、甲状腺検査の二次検査で、「がんまたはがんの疑い」という診断にならず、経過観察になった人が、後にがんの診断を受けても、県民健康調査で報告されている「がんまたはがんの疑 い」という人数に含まれないなど、事故後に甲状腺ガンと診断された正確な人数が把握できない調査の仕組み自体の問題点も挙げられました。

現在吉田さんは、3・11甲状腺がん子ども基金設立を設立し調査及び支援活動を展開されています。「甲状腺がんと診断された 子どもと家族は孤立し、度重なる診察や通院費用などの面で経済的に困窮したり、進学、就職、結婚、出産などの度に壁にぶつかったりしている。 また再発や転移により、長期に治療と向き合わなければならないケースも出ている。このような状況を解決するためには、治療費や通院費などの給付を含めた経済的支援はもちろん、多様かつ継続的な支援体制が欠かせない」とし、「手のひらサポート」という基金への協力を呼びかけておられます。
「手のひらサポート」は、緊急に、民間レベルでの支援を実現することを目的とした基金で、経済的支援にとどまらず、患者の 治療環境と生活の質(QOL)の向上などにつなげていくことを目ざすものです。基金を通じて当事者の声を集めるアンケートも実施。9割の人が健康調査の継続を望み、学的疫学的な観点からも調査・研究はこれからも続けていかなければならない、医療費の負担が大きいといった意見が寄せられています。

手のひらサポートの給付実績

当事者の意見に触れ、あらためて原発事故を風化させることなく、原発被災者の置かれている状況を発信し続ける活動の意義とともに、原発事故子ども・被災者支援法の第13条3項に掲げられた「医療支援」について、政府の包括的支援策を着実に実行できる体制と予算措置を求めていく必要を確認しました。