コンソーシアムで一体的に運営「名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター名駅」

2017年11月16日 23時16分 | カテゴリー: 生活困窮者支援・若者支援・働き方

就労支援チームフィールドワーク2日目は名古屋市へ。すでに159の認定就労訓練事業所がある名古屋市。これは、全国自治体の中でも突出した数字です。「名古屋市中間的就労パイロット事業」として、支援付き就労を推進するなどの独自の取り組みについても聞いてみようと名古屋に向かいました。
16行政区、人口227万人の名古屋市には3か所の仕事・暮らし自立サポートセンターがあります。それぞれ名古屋市から委託を受けて、生活困窮者自立支援事業の自立相談支援事業(住居確保給付金)、就労準備支援事業、認定訓練事業の推進、家計相談支援事業を一体的に運営しています。3つのセンターのうち、私たちが向かったのは「名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンター名駅」。そこで、センター長の大熊宗麿さん、就労準備支援員の石川貴晴さんのお話をうかがいました。

仕事・暮らし自立サポートセンター名駅の受託団体は、名古屋市社会福祉協議会と社会福祉芳龍福祉会(生活保護施設などの運営実績あり)、NPO法人ICDS(若者サポートステーションなどの運営実績あり)の3団体による「名古屋くらしサポートコンソーシアム」です(委託料6900万円)。それぞれの団体の専門性を生かして12人の職員で運営されています。市とは、複数年契約(3年)を結び、毎年外部委員による事業評価を受けることになっています。コンソーシアムで一体的に運営することで、利用者の状況をつぶさに把握することができ、信頼関係を築きやすい、チーム支援を行うことができるなどのメリットが聞かれました。

相談者の年代は、30~50代が全体の60%を占めますが、65歳以上も20%となっており、この年代については、地域包括支援センターやケアマネからつながる事例が多いそうです。世帯構成で見ると、単身が圧倒的に多く46,1%を占めています。
名古屋市の有効求人倍率は2.11で、1人に2つの仕事がある状況ですが、「仕事が決まっても上手くいかない、あると思って(名古屋に)来てみたら仕事がない」という相談事例や、「家がない状態で相談に来る人もある。」という事例も聞かれました。就労訓練をやってみて「フルタイムで働くことは難しい」と思われることも多いそうです。

就労準備事業(就労体験)に協力してくれる事業所は70ほどあるそうですが、1事業所で複数の受け入れをすることは難しい状況もあるそうです。就労訓練については、登録事業所が159あるものの、今年度内に就労訓練を開始および開始を見込めるのは32人とのこと。
登録にあたっては「協力金があるから」ではなく、「社会貢献したい」「人手不足だから」といった理由が聞かれると言います。社会福祉協議会が音頭をとって実績のあるNPOや社会福祉法人に声かけを行なったことで事業所開拓が進んだ様子も伺えました。

その後、石川さんの案内でジョイフル名駅に向かい、協力事業所の社会福祉法人サンライフ、社会福祉法人サン・ビジョンの取り組みについて、法人の社会貢献推進室山下麻規律子さんにもお話しを伺いました。

社会福祉法人サンライフが運営する介護老人保健施設ジョイフル名駅を訪問

社会貢献推進室山下麻規律子さん(左)と青木マキ市議

サンライフ/サン・ビジョンで、愛知県、岐阜県、長野県の3県で福祉事業を展開しておられます。2015年2月には社会貢献推進室が設置され、生活困窮者の相談事業と就労支援に取り組むこととなり、名古屋エリアで就労支援を進めて来られたそうです。名古屋市仕事・暮らし自立サポートセンターの他、なごや若者サポートステーションや、名古屋市子ども・若者サポートセンターからも紹介を受け、今年は9人を受け入れ就労支援を進めておられます。

訓練のリタイア率は2割~3割程度。途中で休む人もありフォローが必要になる場面も多々あるようです。山下さんは、これまで「教えれば身につく人」を教えていたことに比べると、根気よく教えることが求められるし、現場からは不満の声があがることもあり、職員の理解と指導する技量が必要とされる取り組みだと言われます。

横浜に戻ってサンライフ/サン・ビジョンの社会貢献事例集にゆっくりと目を通す中で、目に止まったのは、派遣や臨時職員で職を転々としていた30代女性の就労支援事例です。こんなことが考察されていました。
~他人と比べ作業が遅い、理解が遅いと決めつける前に、教える側の努力、配慮が足りなかったのではないかと考える視点が必要だと感じた。時間はかかるかもしれないが、教え方、関わりかたを変えれば、十分に力を発揮してくれることがこの事例を通して実証された。また、教え方、関わり方を工夫してその成果で職員が成長していく様子は、指導した職員にやりがいや達成感を生むのではないかと考える。~この女性は就労体験からスタートしてフルタイムアルバイト、正職員と7ヶ月かけてステップアップされていました。やはり、win-winの要素がある。

この2日間、どの現場でも聞かれたユニバーサル就労の概念や、その人なりの働き方を模索し働き場をつくって来られた皆さんの実践に触れて、改めて認定訓練事業のゴールはどこなのか?経済的自立なのだろうか?市や国の期待するところと支援現場の目指すところは乖離していないだろうか?ということを考えさせられました。
就労体験や、就労訓練の受け入れを行う企業のマインドは、「協力金があるから」ではなく、「社会貢献したい」あるいは「人手不足だから」だよということも、あちこちで聴きました。それでも、訓練の質を高めるためには、体験や訓練を受け入れる側で人の手当ができた方がいいと私は思います。困窮者支援を進めるための一体運営や委託契約のあり方も含めて、必要な仕組みについて改めて考えてみたいと思っています。