民衆館の取組み「最後の繋がり」を意識して

2017年11月5日 19時03分 | カテゴリー: 生活困窮者支援・若者支援・働き方

10月17日、若者就労支援チームで、社会福祉法人愛隣会が運営する更生施設「民衆館」(横浜市南区)を訪問し、生活困窮者のための認定就労事業(2016年7月認定)の取組みについて、江森幸久館長に伺いました。

更生施設は、生活保護法に規定された施設で「身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする」とされています。
民衆館の歴史は長く、宿泊所として開所したのは関東大震災の翌年の1924年。多くの港湾労働者の生活の場が必要とされている時代でした。戦後、様々な制度が整備されていく中、低所得者の援護に力を注がれました。その後、高齢者や障害者をも受け入れるための施設へと役割が変化し、現在、職員の業務は、介護ではなく生活相談員が中心で、主に社会復帰に向けて関係機関との調整などを行なっているそうです。

旅行会社のタグ・台紙を作る作業中。

就労訓練では、横浜市就労訓練事業支援センターとカンファレンスを実施しながら3人を受け入れ。通所事業やボランティア体験など、生活保護受給者支援のプログラムを生かして実施されています。訓練にかかるコストは一人当たり月2万円程度(訓練生の交通費、昼食代)とのことですが、プラス1の人的な配置が望ましいとの意見も聴かれました。
「生活保護を受給する直前には多くの場合、身内や良心的な親方や社長など「最後の繋がり」によって生活がなんとか成り立っていた。このままでは数年後には生活保護に頼らざるを得ないかもしれないと感じるケースが複数あった。」とのこと。また、「訓練事業で関われる範囲は限定的である、訓練の場を提供し、困難をほぐそうと思って逆に壊れてしまう可能性もある。」、「就労を無理強いすると体調を崩すこともある。セーフティネットが何もないと不安。」といった指摘もありました。

生活困窮者支援策として注目される「中間的就労」ですが、本人・家族が抱える困難に向き合う支援の幅や質が問われることを改めて意識させられる指摘でした。それでも、「まず一歩外に出ることは生活の基本。疲れた、お腹がすいた 風呂に入る」このサイクルが尊い。」と。こうした民衆館の姿勢は、多くの独自事業に現れています。常に最後の繋がりを意識しながら取り組まれた結果なのだと腑に落ちました。

民衆館の取組みは、基幹事業のノウハウがあってこその訓練事業でしたが、「事業所の自主事業」との位置付けで、受け入れ枠を広げていくことはなかなか難しいと思われます。
公的支援をいかに組み合わせていけるのか、その可能性を探るためにフィールドワークを続けます。

施設の清掃は入居者の皆さんで。どこを見ても清潔で綺麗。

(独自事業)
●民衆館利用者のボランティア活動(中間的就労)
・厚生施設として開所した1983年より隣接している睦公園、歩道の清掃を実施
・2009年より睦地域ケアプラザ(ちょこっとボランティア)に登録、参加
2016年度は延べ1,327人の利用者がちょいボラに参加
●民衆館のアフターケア
・2002年OB会発足。退所者のうち希望者を登録。→現在90人
・居住状況の確認が可能。情報が不足しがちな単身生活者にとって、情報発信の場になる。相談事業に繋がる。
●子ども食堂
母子生活施設のスタッフなどと一緒に運営している