かないばら苑の取り組みを聴く「デイの空車両を活用した 高齢者の移動支援」

2017年1月19日 17時53分 | カテゴリー: まちづくり, 活動報告, 高齢者、障がい児・者福祉

P1190949syarou-260x178社会福祉法人一廣会かないばら苑(川崎市麻生区)を訪問、施設の福祉車両を活用し、自宅から高齢者の交流の場「サロン」などへの無償送迎(乗り合いで送迎)を行う試みについて、苑長の依田明子さんよりお話を伺いました。

開口一番「地域のニーズに応え小さな活動をしてきただけなのですが。他の法人もやってほしいとは思っていた。」と依田さん。
一人暮らしの高齢者が増加する中、行政も気軽に集える「居場所」、「サロン」づくりに力を入れています。しかし、サロンに出かけられるのは、自力で通える人、家族に送ってもらえる人。介護保険サービス(送迎付き)の利用には至らないまでも、移動に困難を感じている人、狭間にある人たちは確実に広がっています。
私がかかわるNPOが地域で展開する高齢者向けサロンにいらっしゃれるのも、ご近所の足腰のしっかりした方たちです。これから各市町村で介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)として展開される住民主体型のサロン事業も、このような送迎の仕組みとセットでなければ、利用できる方は限定的になってしまいます。
かないばら苑の取り組みはすでに2010年より始まっていました。利用者自宅から地域のサロンまでの送迎を担うのは二人のボランティアさん。参加集約や走行コースも考えます。「添乗を続けるうちにだんだん福祉的になる」効果もあるそう。送迎を通じてボランティアさんたちが地域の困りごとを拾って来ることもあると言います。利用者の把握や送迎コースの作成などを、サロンを開催する自治会が担う事例も紹介されました。

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苑長依田明子さん(右)

かないばら苑は、人材育成も足元で行うという方針を持って、介護職員初任者研修事業にも取り組み、年4200人のボランティアの受け入れも行なっておられます。さらに、麻生区にある地域包括支援センター2箇所の運営も受託しています。施設を見学させていただき、風通しが良いことはすぐにわかりましたし、移動支援もボランティアとの関係づくりができる法人なればこその成功事例だと思います。

国も自治体も「地域の支えあい」を強く打ち出し、また、社会福祉法人改革によって、多くの法人が生き残りをかけて動き始めています。これらが追い風になり、かないばら苑の取り組みにも注目が集まっており、他市社会福祉協議会の視察も受けているそうです。
依田さんからは、何度も2018年度の介護保険制度の改定の厳しさを予測するお話もありました。「地域の支え合い」を象徴する総合事業は、給付の抑制や報酬の引き下げなど介護保険財政の帳尻合わせの流れから生まれたきた側面もあります。制度改定に強い危惧を持ちながら、地域支え合いのモデル的な存在となっているという相反するような状況に、私は戸惑いも感じます。

県内でも、いくつか社会福祉法人と社会福祉協議会の連携による移動支援、買い物支援の取り組みが始まっています。総合事業に入込んで「移動D」という位置付けが必要という意見も聞こえてきます。でも、なんでもかんでも総合事業でやるの?という疑問はぬぐえません。様々な事例を伺いながら、私のモヤモヤ感も整理していきたいと思います。