豊洲市場問題から情報公開・公文書管理のあり方を考える

2016年11月7日 09時50分 | カテゴリー: まちづくり

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三木由希子さん

豊洲市場の盛り土問題で揺れる東京都。市場が完成していないにもかかわらず、設計や計画変更の資料や記録が存在していないことや会議録の改ざんの事実も明らかになりました。
11月1日には、自治体の「情報公開・公文書管理」のあり方を考える学習会を開催、三木由希子さん(特定非営利法人情報クリアリングハウス理事長)にお話いただきました。

~誰が、いつ決めたのか?、その理由は?、他の選択肢は?
市民にとっては「なぜ」が大事。市民にとってはプロセスが大事。
行政が「説明責任」を果たすということは「証拠を持って」説明することで「説得」することではない。行政は、チェックをしてもらっても困らないような仕事をすれば良い。~
三木さんのお話はここから始まりました。

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保坂れい子鎌倉市議

知りたい情報を手にしたくて「情報公開請求」した際に、その情報が「不存在・非公開」とされた時、私たちは少なからず「不信感」を持ちます。不存在・非公開となったことについて行政が合理的、具体的な説明ができなければ「不信感」はさらに大きくなります。そんなことが重なれば行政組織全体のあり方への疑問にも繋がってしまう。こんな悪循環を生まないためには、そもそも「チェックされても困らないような仕事をすれば良い。開かれた透明性のある組織はより良い仕事ができる組織体制です」と三木さんは言います。
情報公開・文書管理についての前向きな意味付けを提示することで、「情報公開請求される=仕事が降ってきた(運悪く)」といった役所の側のネガティブな受け止めも変化していくのではないかと思います。
「公文書」「行政文書」をみんなのものと明確に位置付け、公文書の作成義務や管理の単位、保存期間を明確かつ適正に設定すること、また公文書管理情報を公開することや、公文書の保存期間満了後の措置の基準を設定すること、これら公文書管理が適正に行われているかの検査・監査の仕組みの導入など公文書管理制度の必須事項を条例に定めるというところまで進められばベストです。IMG_4472
しかし、公文書管理法でも、公文書管理条例の制定は「努力義務」にとどまっており、自治体において条例化は進んでいません。神奈川県内で条例を持っているのは相模原市と藤沢市のみ。この二つの自治体は公文書館を有しています。
神奈川県は、文書の作成義務は規則に規定しています。(東京都は規定なし)また、整理・保管については「文書管理規定」、行政文書の分類・整理などは「行政文書管理規則」に規定、1年未満の保存機関の文書を除き公文書館に引き継がれることになっています。*神奈川県文書館条例
こうした神奈川県の仕組みについて、三木さんは一定の評価をしつつも「実施機関ごとの縦割り構造になっており全体の体系がわかりにくい、歴史文書の請求権制度がない」などの問題点も指摘されました。

公文書管理条例の制定を求め市議会で繰り返し質疑を行っている保坂れい子鎌倉市議の報告からは、自治体の具体的な課題も見えてきました。保坂市議の提案に対し、市は「公文書管理条例の制定を急ぐよりは、まずは文書管理の実態の整備が肝要」、「文書管理システムの更新時期、または本庁舎、図書館の見直しの時期を一つの機会と捉え条例制定も視野に入れた調査・研究をする」といった見解を示しているそう。多くの自治体がそうであるように、鎌倉市でも歴史文書を永久保存する受け皿となる公文書館の整備が課題になっていることがうかがえます。
三木さんからは、「公文書館」を共同設置をしている事例として福岡共同公文書館の取り組みが紹介されました。(福岡県と58の市町村が参加する一部事務組合が「共同」で設置・運営)今後、機会を作り、広域自治体として県が果たした役割など、さらに掘り下げて調査してみようと思います。

お二人のお話を聴き、より良い行政組織は、日常的な営みの中で醸成されるものであり、その前提として適正・適切な情報公開・文書管理の必要性を再確認しました。

参考:福岡共同公文書館の開館とその取組について