総合事業はどこへ向かおうとしているのか「33自治体への 公開質問報告書」発刊しました〜

2016年9月12日 23時11分 | カテゴリー: 高齢者、障がい児・者福祉

「33自治体への 公開質問報告書〜介護保険なのに、いざという時に使えない!?〜」を発刊しました。10項目の質問への回答とコメントを、全て掲載しました。
報告書の中で、私も総合事業について以下のような考察をおこなっています。

(報告書より抜粋「総合事業はどこへ向かおうとしているのか」)
介護予防・日常生活支援総合事業 ( 以下、総合事業 ) の開始時期は、2015 年4月~ 2017 年 4 月までの間で、自治体が独自に決定することが可能とされています。国は、財政的なインセンティブをつけ、自治体ができるだけ早い時期に総合事業の実施に踏み切るよう後押ししてきました。神奈川県では、15 自治体が総合事業をスタートさせています。さらに、2自治体が 2016 年 10 月からのスター トを予定しています。総合事業への移行に際しては、まず現行相当サービスを実施し、段階的に多様 なサービスを導入する自治体が多く、回答からも、すでに総合事業に移行している横浜市・相模原市・ 横須賀市・綾瀬市・厚木市など、基準を緩和したサービスは未だ実施されていないことが読み取れます。 15 自治体が 2017 年度 4 月のスタートを予定していますが、いずれの自治体も事業の具体的内容は「決 まっていない」と回答しています。事業をスタートさせた自治体も含めて、このような状況で、国で は次期改定に向けて議論が進められています。

総合事業がスタートした 15 自治体のうち、市民への説明を行ったのは川崎市・横須賀市・平塚市・ 綾瀬市・厚木市・秦野市・小田原市の 7 自治体、説明を行っていないのは横浜市・相模原市・伊勢原市・ 南足柄市・大井町・松田町・愛川町・清川村の 8 自治体にのぼりました。また、事業者への説明を実 施したのは 13 自治体でした。
一方で、2015 年度の制度改定の利用者への影響について、「影響ある」とした自治体は 15 自治体。 具体的には「制度改定は多岐にわたっており、利用者への影響も様々」(横浜市)、「負担割合2割の 適用開始による負担増」(川崎市・鎌倉市・藤沢市・逗子市・葉山町・茅ヶ崎市・平塚市・大和市・秦 野市・箱根町)、「補足給付 (*1) の要件見直しによる負担増」(逗子市・横須賀市・厚木市・秦野市・南 足柄市)、「必要書類等の変更による混乱」(秦野市)、「軽度者の特養入所が厳しくなった」(山北町) などの影響を挙げています。事業者への影響として、「報酬減額による影響」をあげたのは、12 自治 体で(横浜市・川崎市・鎌倉市・藤沢市・逗子市・横須賀市・葉山町・茅ヶ崎市・大和市・厚木市・ 南足柄市・箱根町)、中でも厚木市は「報酬改定の対応が必要となっている」と踏み込んだ回答をして います。一方で、横浜市は「制度改正後も介護事業所の数は増え続けている」とも回答しています。 その他「基準を緩和した類型については事業参入を検討できる事業者は少ない」(藤沢市)、「負担割合の変更による過誤処理の増加」(逗子市)、「事務対応の負担(増)」(横須賀市)、「総合事業の仕組 みが複雑であり、事業者よりケアマネへの説明ができないとの意見があった」(南足柄市)、「実態調査 を行っていないので詳細は把握していない」(鎌倉市・三浦市・葉山町)、「何らかの影響はあったと考 えるが具体的な事例は把握していない」(葉山町)とのコメントもありました。市民へのより丁寧な説 明や、影響を把握するための実態調査の実施が求められます。 しかし、すでに次期改定に向けて大幅な制度の見直し議論が始まっており、自治体が総合事業の制度 設計に積極的に取組むモチベーションが持てない状況もうまれているのではないかと推察します。
(抜粋、ここまで)

今後も保険者である自治体の取組を後押しする政策提案に取組みます。みなさまには、ぜひ、ご一読いただき、ご意見・ご提言いただければと思います。

(*1) 補足給付:低所得者(住民税非課税世帯)対策で、国が設定した基準額と利用者負担額との差額を介護保 険から給付して負担を減らすもの。制度改定により、2015 年 8 月から、預貯金等の資産も勘案されることに なった。
■市民説明会開催状況 p5 図参照
■事業所説明会開催状況 p5 図参照