「想定」「予定」連発の横浜市の「介護予防・日常生活支援総合事業」やっぱり心配

2016年3月12日 20時09分 | カテゴリー: 高齢者、障がい児・者福祉

2016年度横浜市予算案の審議が続いています。2016年度から本格実施するという介護予防・日常生活支援総合事業の予算規模は69億8,584万円になることがわかりました。(総合事業の類型は下段の厚生労働省のガイドラインを参照ください)
昨年 広報よこはま2015年11月号で「28年1月から、要支援1・2の認定を受けた人に対する訪問介護・通所介護が、全国一律の予防給付から市町村が取り組む「介護予防・日常生活支援総合事業」に移行します。」とさらっとアナウンスされています。ちょうどこの時期(11月18日)に開催された介護保険事業運営協議会の会議録を見ると水面下のドタバタも見えてきます。
総合事業に関する事業者アンケートでは「資格を持たない人材」を新たに雇用し訪問型サービス Aを実施することについて、想定できる=45.5% 想定できない=51.3% 無回答=3.2%という結果もあり「訪問型サービスA(基準緩和型)を充実させるためには、人材育成をしなくてはいけない」という意見や「訪問型サービスB(住民主体型)については未整理」、「住民主体型のサービスによる地域づくり、という点が見えてこない」、「通所型サービスAについては当面は難しい」、「通所 Bはこれからの検討」、「通所Cは当面実施しない」、実施時期についても「訪問型サービスAは10 月からのスタートを想定している」、「サービスBは 29 年4月からの実施に向けて検討している」といった議論がなされています。私も、いつ「本格実施」されるのか、いや「見切り発車」されるのかと心配していました。

これで良いのでしょうか。総合事業を進めろと言ってるのではありません。給付の抑制が主たる目的の財源論を覆い隠すかのように、地域包括ケアシステムの構築のために総合事業に取り組むようなことを言われることには強い違和感を感じます。総合事業総合事業への移行については2017年4月までの猶予があるのに、予算確保(*1)のために2015年度内に始めることにしたのは横浜市。ここでもまた財源論を優先させ、その結果「想定」「予定」を連発。「さまざまな団体による多様なサービスが受けられる」と言われても、どこで、どんなサービスが受けられるのか、自分の暮らしにどんな影響があるのかイメージできない人が多いのではないでしょうか。
昨年12月に開催された介護予防・日常生活支援総合事業の展開に関する検討会では、市民へのメッセージや働きかけの重要性が指摘されています。そして1月には、「2016 年、地域包括ケア本格始動」の記者発表。でも、「こんな風にやれる」「包括ケアが推進される!」といった手応えがなければ市民に届くメッセージにはならないだろうと思います。
1月21日に開催された「平成 27 年度第4回横浜市介護保険運営協議会」では、訪問型サービスAの報酬を訪問介護相当サービスの基本報酬の90%とする考え方(*2)も示されていますが、90%報酬で参入する事業者がどの程度あるのか、もちろん、雇用できる報酬=働きたいと思える時給なのかもわからない。住民参加によるサービスも「生活支援コーディネーター」に期待するところが大き過ぎはしないかと心配になるのは私だけでしょうか。
すでに、財務省は、要介護1、2を対象としたサービスについても給付から外し、市町村事業に移行する案を提示、2016年度内に結論を出すといいます。政府がまとめた「骨太方針」でも同様の考え方が示されています。そうすると、現在、いろんな理由をつけて線引きをしている要支援1、2の人と、要介護1、2の人たちは、再び同じくくりの総合事業の対象になるのでしょうか。それでは理屈が通らないだろうと思います。要支援1、2の人たちを対象に新たなサービス=総合事業を構築しても、そのサービスの対象からも外れるかもしれない。総合事業(地域支援事業)自体もいつまで続くのかわからない。なぜなら、国は今までも何度も梯子を外すような制度改訂を繰り返しているから。
こんな状況で、今、総合事業を丁寧に設計しようというモチベーション持てないかもしれない。もちろん、そうじゃないことを願うし、そうならないように声を上げ続けないといけないということを肝に銘じたいと思います。次回、横浜市市介護保険運営協議会(3月22日開催)の議論も注視したい。

(*1)各年度の新総合事業予算額の上限は前年の事業費用に後期高齢者の増加率を乗じた 額となっている。平成29年度末までの特例が設定されており、移行後初年度の費用の上 限額は移行前年度の予防給付等の実績額に110%を乗じた額とすることができる。
(*2)訪問介護事業所アンケート調査による「生活援助のみの時間給の職員の時給」と「資格を持たない人材を雇用することを想定した場合の時給」の比率により事業所ごとに算出した額をベースに算出したとしている。

厚労省のガイドライン(通所型サービスも同様に、現行の通所介護相当サービスの他、A~Cの3類型)