介護保険のジレンマ解消へ「要介護度改善に奨励金」

2016年1月30日 23時31分 | カテゴリー: 高齢者、障がい児・者福祉

「要介護度」は、介護を必要とする人の度合を7段階に区分したもので、介護度によって利用限度額や、報酬単価が変わってきます。現行の介護保険制度では、良いサービスを提供し介護度が改善すれば介護報酬が下がることになります。この介護保険のジレンマ解消に向けて独自事業を展開する2つの自治体の取り組みをレポートします。
 IMG_260028日、「品川区要介護度改善ケア奨励事業」の取り組みについて、品川区役所で話を聞きました。
品川区は独自に要介護度が改善された場合に、奨励金を成功報酬として交付しています。奨励金を交付することで、施設職員の意欲向上を図るとともに、さらに質の高いサービス提供が継続して行われることを推進するとしています。
 介護度 1 段階改善につき 1 カ月 2 万円交付しており、2013年度実績は介護度が改善された人数が47人で奨励金交付額680万円、2014年度実績は介護度が改善された人数が新規対象者43人、継続対象者43人で奨励金交付額1,246万円となっています。

 品川区要介護度改善ケア奨励事業は、「品川区施設サービス向上研究会」に加入する特別養護老人ホームなどの施設を対象にしています。品川区施設サービス向上研究会が、品川区標準としての128項目のセルフチェッ ク(自己評価)を実施していることや、区が支援を行ってきたという経過も踏まえ、このようなスキームになっているようです。一方で、グループホームや小規模多機能型居宅介護を含む在宅サービスは奨励事業の対象とされていませんでした。品川区の介護保険サービス利用者のうち65.5%(9,012人)が利用する在宅サービスについては、日常生活の過ごし方そのものの影響を排除できないことや、複数のサービスを利用していることを考慮し介護度改善を評価することは難しいと判断されているようです。

 介護の現場には、「介護度が改善されたことを評価すべきだよね」と言う声は常にありました。私が関わってきたのは、デイサービスや居宅、訪問介護といった在宅を支えるサービス。機能訓練やコミニケーションなどを通じて、利用者の身体機能や精神面にプラスの変化があるとケア者は励まされます。利用者の変化だけでなく、介護をしている家族にも喜んでもらえたり、家族の介護負担が軽減されることは、サービス提供者にとっても誇らしく嬉しく思えることです。

 介護度が改善されたことを評価するのであれば、選んだサービスによって隔たりなく要介護度の改善の恩恵を受けられるスキームであるべきではないでしょうか。
介護保険のジレンマ解消へ〜川崎「健康福寿プロジェクト」に続く