介護保険制度:やっぱり出てきた「軽度」者の切り離し

2013年5月12日 01時20分 | カテゴリー: 高齢者、障がい児・者福祉

5月6日、介護保険制度について、要支援者を介護保険サービスから外すという方向で見直し方針を決めたとの報道がありました。翌7日、田村厚労大臣は、なお慎重に検討するとして、「方針を決定」という報道は否定されましたが、こうした可能性は以前から指摘されていたところです。

介護保険サービスから外れる要支援者は、ボランティアなどを活用した市町村の事業で対応、その具体策について今後検討するとしています。すでに2012年度の介護保険制度の改訂時には、要支援者と2次予防事業対象者(要支援・要介護になるおそれがあると認定された高齢者)に対して、市町村の判断によりボランティアなどを活用した介護予防や配食・見守り等の生活支援サービスを提供する「介護予防・日常生活支援総合事業」が創設されています。しかし、現在、全国で27市町村の取組みにとどまっており、県内33市町村も揃って「当面取組まない」としており、積極的な取組みを期待した厚生労働省の思惑通りにはいかなかったようです。

 なぜでしょうか?
介護保険制度の創設以来、市町村も事業者も利用者も見直しにつぐ見直しに振り回されてきました。2007年、予防を重視するとして、要支援1・2という認定区分を創設してからわずか6年で、今度はこの区分をなくしてしまうというのです。制度改定に伴い、介護保険ソフトの変更などの事務費も発生します。これだけ制度がコロコロ変われば利用者への説明も大きな負担となります。制度が安定しない、いつ国にはしごを外されるかわからないと思えば、市町村も新たな事業にそう簡単に手を挙げられないと思います。
また、日常生活総合支援事業は市町村の介護保険事業のうち「地域支援事業」に位置づけられ、介護・予防給付の4%の枠内で実施することになっており、事業の規模にも制約があります。従って、要支援者の予防給付が縮小されることや生活援助サービスの制限につながる可能性を否定できないと、私も指摘してきたところです。
 
日々、認知症や独居高齢者などと向き合い生活援助を提供しているヘルパーからは、適切な生活援助により在宅生活を維持できるという多くの事例を聞きます。一方で、訪問介護サービスにおいて、生活援助と身体介護はしっかりと線引きされ、生活援助の報酬単価は低く制約も多く生活援助の重要性がどこまで理解されているのかは疑問です。
もちろん、介護保険だけで高齢社会を乗り切れるわけではなく、インフォーマルサービスも含めた包括ケアを展開していく視点も必要だと思いますが、まずは、生活援助サービスの価値や効果をしっかりと把握すべきと思います。

こういう見直しをやれば、東日本大震災の際に利用者を訪ね安否を確認したような地域の小さな事業者は消えていくのではないでしょうか。介護保険を維持することが目的化してしまった議論は意味がありません。適切な生活援助により、できるだけ住み慣れた地域で暮らせる可能性を広げていく方策を検討しましょう。