エネルギーの「地産地消」を進めるために〜一般質問報告〜

2012年9月30日 16時11分 | カテゴリー: 活動報告, 県政レポート, 防災・環境・エネルギー・ごみ

今年の4月3日 、「エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針」が閣議決定され、公営の発電事業における新電力の買取参入の実現にむけ、地方公共団体が行う売電契約、一般競争入札が原則であることを、あらためて周知するとされました。同日、知事は会見において、県営電気事業について、とりわけ、発電した電力量の全てを東京電力㈱に随意契約により売電(供給)している現状にふれ、東京電力以外と契約を結ぶことについて前向きに検討される旨話されました。その際、法的な問題として、県営電気事業が、電気事業法上卸供給事業として整理され、売電先は一般電気事業者すなわち東京電力に限られていることや、契約上の問題として、平成35年度までの電力受給基本契約が締結されていることについても考えていかなければならないとの見解を示されています。

しかし、地方公営企業法において、地方公共団体が経営する電気事業は卸供給であるとの規定は存在しておらず、企業庁自らが、電気事業法に規定された「卸供給事業者」になることを選択しているに過ぎないのではないでしょうか。電力受給基本契約、および、売電単価を定めた三か年の電力需給契約においても、途中解約に対する解約違約金など補償金の支払い義務の規定も見られません。現段階で、売電先について、多様な選択を阻害する法的な規制や契約上の問題は存在しないのではないでしょうか。

国の電力システム改革専門委員会は、7月末に「電力の小売り全面自由化」「発送電分離」の方向性をまとめました。先頃、公表された、公正取引委員会の「電力市場における競争の在り方について」という報告の中でも、電力市場自由化の意義として「公正かつ自由な競争が行われる市場において取引が行われることにより,効率的な資源配分が行われ,需要家は,より良質・廉価な商品・サービスを,より多く購入することができる。」と指摘しています。また、電気事業における電気の供給先の拡大にむけ検討を進めて来た東京都は、すでに9月議会に条例改正案を上程していますが、競争入札を実施し、その結果東電が落札しても、販売単価が上がることが期待できるとしています。

近年の電力自由化の進展にに伴う影響、主に、供給契約単価の下落により、公営水力発電による年間売電収入額年間売電収入額は、全国的に減少傾向にあり、本県の電気事業における東京電力からの売電収入額もこの10年で約10億円減少し、23年度の売電収入額は59億円余にとどまりました。売電単価の下落の傾向もあり、1998年には104億1000万円であった事業収入は2010年には約2割減少し86億1000万円に落ち込んでいます。

このような電気事業に関する社会情勢の変化や、企業庁の財政対策としての政策効果も踏まえて、県営電気事業における売電契約を見直し、一般競争入札の実施に向けた具体的な検討をすすめるべきではないかとの質問 を行いました。

知事からは、東京都の動きを知り、神奈川県としても検討を進める必要を感じ、売電契約の権限を持つ企業庁長へ検討するよう求めたという経過とともに、企業庁からの報告として新電力は安定した電力を必要としているが、雨量の変化により出力が変動することや、揚水式の城山発電所を有していることなどの特殊性があり、契約方法を変更することは、必ずしも経営上有利とならないとの考え方が示されました。これは、これまでも繰り返し言われてきたことでもあります。電力供給の地域独占を許してきた電力政策の結果として、計画停電、節電要請、一方的な電気料金の引き上げを受入れなければならない状況が続いています。企業庁長からは、基本契約の解除などについて東電に問い合わせたが、「仮定の話には答えられない。正式な申し入れがあれば検討する。」との回答があったことも報告されました。現状では、照会を行ったものの特段具体的な検討はなされていない状況であることが解りました。

電力システム改革専門委員会に出された資料によると、「資源エネルギー庁が把握している限りでは、公営電気事業が民営化した際の解約違約金は、発生していない」との記述もあります。一般競争入札が実施され売電されている(独)水資源機構が管理する水力発電所(9カ所)においては、平成10年代半ばに一般電気事業者から2~6円の売電単価の提示をされ、財政収支上等の観点から一般競争入札へ移行した結果、震災以前の状況においても、9~14円の売電単価 を達成しつつ、新電力と契約を結んでいる事例も報告されています。

知事は、「電力の小売全面自由化」、「発電の全面自由化」、「発送電分離」といった国の電力システム改革の検討が進められており、今後とも改革に合せ、柔軟な対応が必要との見解も示されました。売電単価を定めた3カ年の電力需給契約は来年度いっぱで終了することになっています。これをひとつのタイミングとして、自らが発電した電力の市場性を高めエネルギーの地産地消を推進できるのか、その可能性を具体的に検討してほしいと思います。