矛盾に満ちた神奈川の監察医制度

2012年3月11日 01時08分 | カテゴリー: 県政レポート

常任委員会報告

神奈川県の監察医制度は、死体解剖保存法第8条および政令の規定にもとづき、要綱を定め運用されており、横浜地域における異状死またはその疑いのある死体の死因を明らかにするために検案や解剖を行うとされています。

監察医の行う解剖は遺族の承諾を必要としないとされていますので、遺族は解剖を拒否できないのですが、費用は遺族が負担しなければならないしくみです。しかし、遺族が費用を負担しなければならないという法的根拠もありません。ちなみに、承諾がいらないとされている監察医の解剖ですが、遺族は監察医あての解剖に関する承諾書の提出を求められます。解剖の行為を強制する主体は誰なのでしょうか?

「神奈川県監察医の業務に係る費用に関する基準」には、死体検案費用(基準額1万円)や解剖費用(基準額5万円)の基準額が定められていますが、遺族にはこの金額は知らされません。遺族に基準額をお伝えしたところ、基準を大幅に上回る費用が徴収されているとの指摘をいただきました。県の医療課によると、「基準」はあくまでも目安であり遺族が負担する費用については把握していないが10万円程度かかると聞いているとしています。実態はどうなのか、疑問は広がります。

県には、「監察医が提出する報告書及び記録に関する基準」があり、監察医が保管する記録の内容として、業務実施に関する記録8項目と検案等の費用にかかる領収金額の記録5項目があげられています。しかし、記録し保存する義務はあるが、全ての提出を求めているわけではない、提出を求めていないものは公文書ではなく情報公開請求の対象にもならないとしてきました。あくまでも監察医と遺族の「民・民」の関係における契約なので、遺族が監察医に情報開示を求めてみれば良いとも言われましたが、県が記録の保存を義務化しているのですから、本来、遺族が望めば県として情報公開できるシステムが望ましいと思います。

死体解剖保存法第8条は「〜監察医を置き、これに検案をさせ、又は検案によっても死因の判明しない場合には解剖させることができる」とされています。できる規定です。強制的な検案・解剖であるとするならば、要綱に、○○が、「検案させなければならない」「解剖しなければならない」という文言が必要となるのではないのか、委員会でも課長に尋ねてみました。すると、政令で定められた「行政行為である」と、思いがけない見解を示されました。

そこで、早速、監察医に保存が義務付けられている記録を情報公開請求してみました。対応した職員は、従前通り即座に「公文書ではないので不存在です」としましたが、「監察医の業務は行政行為」とした答弁を踏まえれば、「民・民」契約として片付ける事はできないはずだと考えています。

このように、監察医制度は矛盾に満ちた制度です。しかし、職員と禅問答のようなやりとりを繰り返す事に意味はありません。医療課も監察医業務はブラックボックスとなっているとの指摘を認めているのですから、改善にむけ共に知恵を出し合うことこそが必要です。