横浜市が出資する法人との契約締結における課題

2010年3月28日 15時08分 | カテゴリー: 市政ファイル

「双方代理」の禁止

「開国博Y150」の検証を進める中で、名古屋市制100周年を記念し実施された世界デザイン博覧会に関わる事件の判例を読みました。この事件は、世界デザイン博覧会の赤字隠しのため、市が出資する名古屋市がデザイン博覧会協会(会長は当時の名古屋市長)から、余った物品や施設を買い受けた契約は違法として名古屋と協会に対して損害賠償の支払いを求めた住民訴訟です。最高裁まで争われ、原告の敗訴が確定しましたが、その際、裁判官が重要な意見を残していました。

以下、藤田宙靖裁判官の補足意見を引用

 私は,法廷意見に賛成するものであるが、本件各契約への民法108条の適用ないし類推適用の有無の問題を中心として、若干の補足を行っておくこととしたい。 地方公共団体の締結する契約であっても、それが財産管理に関する民法上のものである場合には,原則として民法の適用があることは、いうまでもなく、このことは、双方代理に関する法理についても同様である。 この点に関し地方自治法上に何らの規定もないことは、この理を排除する趣旨ではなく、この理の適用をあえて排除する必要はない、との趣旨と解すべきである。(引用終わり)

 つまり、自治体と自治体が出資する法人の契約についても、*1民法108条「自己契約及び双方代理」が適用されるということだと思います。

 そこで、2つの事例を検証したいと思います。
まず、横浜市が、県、川崎とともに出資する財団法人かながわ廃棄物処理事業団(KHJ)の解散に関してです。KHJ設立当初から、市の職員(現在は資源循環局長)が、理事として事業団の経営執行の業務に従事しており、市と事業団のリスク配分が曖昧なまま負担金契約に基づく補助金が支給され続け、実質的には破綻状態であった事業団の事業が継続されてきました。その結果、約60億円の負債を抱え事業団は解散。横浜市の債権放棄額も恐らく20億円にのぼると思われます。予算質疑において、双方代理の弊害について市長に見解を求めましたが、「理事長は職員ではない」(よって問題無い)という認識を示されました。しかし、民法(53条)に、理事は、法人のすべての事務について法人を代表する、いわゆる代表権者として位置づけられています。利益が相反する契約において、双方代理は認められません。

 もう一つは、市が横浜新都市交通(株)に貸し付けた35億の償還期限の延期を認める契約変更契約の締結についてです。99年に締結された契約では償還期限は昨年の10月21日となっていましたが、同日付けで、償還期限を本年3月31日に変更するという契約を締結していました。決済者はこの件を所管する道路局長ですが、局長は横浜新都市交通(株)の取締役でもあります。償還期限の延期を認め市長名の公印を押した局長は、償還期限の延期を申し出た立場でもあったのです。この変更契約については議会の議決も得ていません。この点について予算委員会で指摘を受けた局長の答弁「新都市交通の存続のために〜」という言葉に、市と市の出資団体との関係における問題が集約されています。これは恐らく氷山の一角、引き続き見直しを求めていきます。

民法108条「自己契約及び双方代理」

同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りではない。