介護の人材がにげていく

2007年3月18日 08時47分 | カテゴリー: 高齢者、障がい児・者福祉

NPOの功罪

先週放送されたNHKスペシャル「介護の人材がにげていく」は、多くの方に衝撃を与えたようです。実際、介護労働の現場は、いつもいつもスタッフ不足で悲鳴を上げています。きつい仕事に見合わない賃金、人材不足を補うハードワーク、まさに3K職場だという声が聞かれます。厚労省の試算では、今後10年間で介護職員を現在の100万人から150万人に増やすことが必要としていますが、1年間に、介護労働につく方の4人に1人が辞めていくそうです。

もともと、介護という仕事は、主に、女性たちが無償労働で担ってきました。そのため、介護保険がスタートし、介護の社会化が進んでも、その評価は低く押さえられています。「家の嫁から社会の嫁へ」という樋口恵子さんの言葉が、現状をよく表していると思います。

介護保険制度に先駆けて、地域に必要なサービスを「助け合い」をベースに展開し、将来的には自分自身も利用できるような料金で提供しようというNPO,有償ボランティアの活動もありました。その労働評価は最低賃金を下回る事例も多く、若い世代の担い手が広がらないという課題もあります。こういったNPO・市民事業を「公」=公務員がコーディネートし、「官の仕事を民がやる」というような、市民事業セクターの拡大とは本質的に異なる事例も多く見られます。これでは、行政の下請け事業を広げることとなり、労働評価を高めることにも逆行します。まさに、NPO・市民事業の姿勢や力量が問われます。事業に強さが無ければ、「働く」ということを正面からとらえることはできません。市民資本の循環、再投資のシステムも、もっともっと拡大しなくてはなりません。

もちろん、介護保険制度において、介護労働を適正に評価し、賃金、労働条件の見直しをすすめることは必要です。そのためには、今後、財源=保険料の見直しも含めた議論が必要ですが、政治への信頼がなければ、未来に投資することもできないでしょう。やはり、全ての政策議論の入り口でなすべきことは政治改革。