法改正以前の問題「教育基本法」

2006年11月22日 01時53分 | カテゴリー: 教育

安倍首相が、今国会の最重要課題と位置づける教育基本法改正案が、与党単独採決により衆議院を通過し参議院での審議が始まります。今回の教育基本法改正によって、教育目標を法律に定めるとともに、文科省の権限強化が進められようとしています。

教育=「人を育てる」ためには、文化や芸術、人々の営みやその歴史など、さまざまな要素が必要とされるはずです。いじめ自殺や未履修問題などに対しても、現場の知恵や経験、努力に目を向ける事なく、教育目標を法律で定めることで教育を再生し得ると考えるのは余りに短絡的です。一国の首相が、教育を語るならば、まず、教育を支える社会的な環境整備にも責任を持つべきです。

格差社会と貧困は教育に暗い影を落としています。経済格差が教育格差を生み、さらに格差の拡大再生産が進んでいます。人生の出発点からハンディを負う子どもに対して、個々の家庭の教育力だけでは、その子の育ちを保障することは困難です。格差を放置したままの教育再生プログラムに、人々は希望を見いだすことはできません。

すでに、10万人を超える子どもたちが、「学校に行かない」と意思表明しています。文科省と法令にしばられた画一的な教育システムは、子どもに寄り添う現場にある「多様な教育」を生み出す力を封じ、結果的には機能不全を起こしています。

教育の価値の単一化や階層化といったマイナススパイラルを壊すのは「多様な教育が存在すること」です。そのためには、学校をつくる自由も保障されるべきです。地域コミュニティの教育力にも期待すべきです。できるだけ大ぜいの大人が子どもの育ちにかかわることや、共同保育などの社会経験の場を豊かに拡げることも必要です。

私たちは、文科省に依存した教育を脱し、地域の育ちの場、新たな教育モデルを生み出すことが教育を再生させると考えます。まずは、教育基本法にも謳われた「個の尊重」を現場で実現することに力を尽くします。